リウマチは、正しくは関節リウマチと呼ばれ、原因不明の持続性の関節炎です。通常は男性より女性の方が3〜4倍かかりやすく、日本人の300人に1人がかかっているといわれています。
関節リウマチは全身の関節に炎症が起こる疾患です。患者数が国内に560万人(日本リウマチ財団)と非常に多くポピュラーで有名なため、手足が痛いという症状と同義で使われているケースもあるようです。関節リウマチの特徴には以下のようなものがあります。
関節リウマチの治療には抗リウマチ薬という薬物を用います。中でもリウマトレックス®、メトレート®などメソトレキセートという成分を含んだ飲み薬を1週間に1ないしは2日服用するのが世界的な標準になっています。海外では毎週20mgほど服薬することもあるようですが、日本では週16mgまでしか使用が認められていません。リウマトレックスの副作用は肝障害や肺障害、白血球減少などがありますが、以外と多いものが「倦怠感」です。服用すると次の日がダルイと感じられる方がしばしばおられます。毎日服用する薬ではないので、翌日はゆっくり休める日を選ぶなど工夫をされるとよいと思います。
リウマトレックスは関節リウマチの勢いを抑える有用なお薬です。しかし、残念ながら関節破壊を完全に抑制できないことも判明しています。そこで最近登場してきたのが「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬です。2017年月現在、レミケード®、エンブレル®、アクテムラ®、ヒュミラ®、オレンシア®、シンポニー®、シムジア®が関節リウマチに対して認可されています。この中でアクテムラ®とオレンシア®は点滴製剤と皮下注射製剤の両方があり、レミケード®は点滴製剤、ヒュミラ®とシンポニー®、シムジア®は皮下注射製剤です。またレミケード®の類似成分を用いたインフリキシマブBSという点滴製剤もあるので、関節リウマチに認可された生物学的製剤は合計8製剤10剤型あります。いずれも関節破壊抑制効果が優秀であるとされています。
レミケードは関節炎に対して即効性があります。アクテムラは徐々に効いてくるタイプです。ヒュミラ、エンブレルはその中間でしょうか。
生物学的製剤は関節リウマチに対して大変有用なお薬ですが、注意点があります。どの生物学的製剤も免疫力が低下する恐れがあります。感染症に留意する必要があります。
高価である点も無視できないところです。もちろん保険診療で行われますが、3割負担が発生する方では、おおよそ年間30万円から50万円の窓口負担が必要です(体重によっても異なります)。年齢や収入などによって条件が異なりますが、高額医療費制度を適応できれば一部還付金が戻ってきます。(他の生物学的製剤もヒュミラが若干高いですが、ほぼ同等の費用です。)
この費用については次のように考えることもできます。リウマトレックスだけでは関節破壊が止まらないことがしばしばあります。関節破壊が進行しますと人工関節など手術が必要になることがあります。手術に要する費用と入院中仕事ができない経済的損失は馬鹿になりません。リウマトレックスの効果が不十分な場合、できるだけ早くに生物学的製剤を始めていただければ将来の手術が回避できるかもしれません。レミケードの場合、早期に開始すると止められる可能性もあります。
レミケードの他にもリウマチに有効な新薬がたくさん開発され、実用化されています。
エンブレル、ヒュミラ、アクテムラ、オレンシア、シンポニー、シムジアがあり、当クリニックではこのような生物学的製剤の使用を専門的に取り扱っています。
出典
1)van der Bijlら。Infliximab and methotrexate as induction therapy in patients with early rheumatoid arthritis. Arthritis Rheumatism誌2007年56巻