リウマチ
Rheumatism
関節の痛みと、これからの生活を支える診療を
関節リウマチは、関節の炎症や腫れによって日常生活に大きな影響を及ぼす自己免疫疾患です。
当院では専門医とリウマチケアナースが連携し、安心して治療を続けられる体制を整えています。
リウマチとは
About
関節リウマチは、全身の関節に炎症が起こる自己免疫性の病気です。
国内の患者数は約56万人(日本リウマチ財団)といわれており、比較的よく知られた疾患です。
関節リウマチの主な特徴は次の通りです
- 複数の関節に炎症が起こることが多く、痛みがあちこちに移動するタイプの関節痛とは異なります。
- 炎症反応(血液検査)で異常が見られるのが基本で、全く異常のない関節リウマチはほとんどありません。
- 関節だけでなく、眼や肺、腎臓など全身に影響が出ることもあります。
- 高齢者だけの病気ではなく、30〜50代に多く見られる疾患です。
- リウマチ因子(RF)陽性=リウマチとは限らず、陰性の方でも関節リウマチと診断されることがあります。
「手足の痛み=リウマチ」と思われがちですが、正しい診断には専門医による総合的な判断が必要です。気になる症状があれば、早めのご相談をおすすめします。
このような症状があればご相談ください
- 朝、手のこわばりがなかなか取れない
- 関節が腫れて、熱っぽく感じる
- 指や手首などの小さな関節に痛みがある
- 疲れやすく、だるさが続いている
- 関節の動きに違和感がある
- 左右対称に関節が痛む
当院の特徴
Features
01. リウマチ・膠原病内科の専門医・リウマチケア看護師が在籍
リウマチ診療を専門とする医師が診断から治療まで一貫して対応いたします。
また、日本ではまだ少ない「リウマチケア看護師」が在籍し、治療だけでなく日々の生活に関する不安にも丁寧に寄り添います。
※「リウマチケア看護師」とは公益財団法人 日本リウマチ財団が認定した看護師です。
嶋 良仁 しま よしひと
特任教授/内科医師
- 専門 / 得意分野
- 所属 大阪大学大学院医学系研究科
学位 医学博士(大阪大学)
日本リウマチ学会専門医
- 資格・所属学会
-
- Infection control doctor(ICD)(日本感染学会)
- 日本内科学会認定内科医
- 日本内科学会認定総合専門医
- 日本リウマチ財団登録医
- 日本リウマチ学会専門医
- 日本リウマチ学会指導医
- 身体障碍者福祉法第7条認定医「肢体不自由」および「免疫障害」
02. 多職種での診療連携
整形外科・皮膚科(膠原病による皮膚症状)・必要に応じて内科とも連携し、全身を総合的に診ています。
03. 一般整形外科も診療
リウマチに限らず、骨折や腰痛など整形外科一般の診療も対応可能。
04. 高度医療機関との連携
大学病院や基幹病院と連携し、必要な場合はスムーズに紹介。
治療について
Treatment
当院では、副作用への配慮をしながら、治療薬の効果を最大限に引き出せるよう一人ひとりに合わせた治療を行っています。
万が一副作用が出た場合も、すぐに対応できる体制を整えていますので、安心して治療を受けていただけます。
主なお薬の種類
| 薬の種類 | 説明 |
|---|---|
| メトトレキサート(MTX) |
関節リウマチ治療の中心となる抗リウマチ薬のひとつで、世界的にも標準的に使われているお薬です。週に1〜2日の服用で効果があり、日本では最大16mgまで使用が認められています。 主な副作用は、肝機能障害・肺障害・白血球減少・だるさ(倦怠感)などがあり、服用翌日に疲れを感じやすい方もいます。服用する日は、なるべく無理のないスケジュールを選ぶのがおすすめです。 |
| メトトレキサートの皮下注射
(メトジェクト®) |
飲み薬で副作用が出やすい方には、**皮下注射タイプのMTX(メトジェクト®)**も選べます。 |
| 生物学的製剤 |
病気の原因となる物質をピンポイントで抑える、いわゆる“分子標的薬”です。注射または点滴で使用され、副作用が少なく、高い効果が期待できます。 |
| JAK阻害薬 | 飲み薬タイプの比較的新しい治療法です。炎症の信号をブロックし、関節の腫れや痛みを抑えます。注射が苦手な方にも向いています。 |
| ステロイド(副腎皮質ホルモン) | 強い炎症を一時的に抑える目的で使います。長期使用には注意が必要ですが、急な悪化時に効果を発揮します。 |
| NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) | 痛みや熱を和らげるお薬です。根本的な治療薬ではありませんが、日常生活の快適さをサポートします。 |
これらのお薬は、単独で使用することもあれば、症状や経過に応じて組み合わせて使うこともあります。
特に関節破壊を防ぐためには、早期の段階で適切な治療を始めることがとても重要です。
当院では、リウマチ専門医とリウマチケアナースが連携し、患者様一人ひとりに合った治療計画を丁寧にご提案しています。
生物学的製剤について
リウマチ治療において、これまで中心だった「メトトレキサート(MTX) 」だけでは、関節の破壊を完全に止められないこともあります。
そこで登場したのが、生物学的製剤と呼ばれる新しい注射薬です。この薬は、リウマチの原因となる炎症物質をピンポイントで抑える“分子標的薬”で、関節の腫れや痛みを効率的に抑え、関節破壊の進行を防ぐ効果が期待されています。
-
使用される主な薬剤(例)
・レミケー®(点滴)
・エンブレル®、ヒュミラ®、シンポニー®、シムジア®(皮下注射)
・アクテムラ®、オレンシア®(点滴/皮下注射)
それぞれ作用のスピードや注射方法に違いがあり、患者様の状態に合わせて選択されます。 -
副作用と注意点
・生物学的製剤は免疫力を下げる作用があるため、感染症に注意が必要です。
・また、一般的な抗リウマチ薬に比べて薬剤費が高額になることがあります。
ただし、バイオシミラー(後発医薬品)や各種医療費助成制度を活用することで、自己負担を軽減できる可能性もあります。
※制度の利用可否は、お住まいの自治体や加入保険によって異なりますので、必要に応じてスタッフにご相談ください。 -
治療の選択肢として
関節破壊が進むと将来的に人工関節の手術や長期入院が必要になるリスクもあります。
そのため、早期から生物学的製剤を導入することで、将来の手術を回避できる可能性もあります。
当院では、複数の生物学的製剤に対応しており、専門的な視点から患者様一人ひとりに適した治療を提案しています。
関連する症状・疾患
Symptoms
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全身性強皮症
全身性強皮症は、膠原病の一種で、皮膚や内臓が硬くなる自己免疫疾患です。
最初に指先の血流が悪くなる「レイノー現象」が起こり、手や腕、顔などの皮膚が硬くなり始めます。進行すると、食道や肺など内臓も硬くなり、飲み込みにくいなどの症状も併発します。 -
2つのタイプ
- びまん皮膚硬化型:腕・顔・胸など広い範囲の皮膚が硬くなるタイプ
- 限局皮膚硬化型:手や指の皮膚のみが硬くなるタイプ
※どちらも「全身性強皮症」に分類され、病気の重さに優劣はありません。
また、名前が似ている限局性強皮症という別の病気もありますが、こちらは皮膚だけに症状が出るもので、内臓への影響はなく、指定難病には含まれていません。
レイノー現象について
寒さ刺激や精神的緊張などがきっかけで強い末梢血行障害が起こり、皮膚の色が変わる現象です。
血行障害部位の境界が比較的くっきりとでます。変色は白、紫、赤の順にかわります。
耳や鼻、口や舌に出現することもありますが、最も出やすいのは指になります。
-
整形外科領域 - 関節の痛み・腫れ・変形
関節の痛みや腫れ、こわばりがある場合は、整形外科での診察が必要になることもあります。
当院では、リウマチ診療とあわせて整形外科でも診療を行っており、症状に応じた適切なサポートが可能です。
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皮膚科領域 - 膠原病に関連した皮膚症状
膠原病などの自己免疫疾患では、関節だけでなく皮膚に症状が現れることもあります。
当院では皮膚科とも連携しながら、リウマチを含めた全身の症状を丁寧に診ています。
全身性強皮症は残念ながら原因は特定されていません。
これまで有効な治療手段もない文字通り難病になっていましたが、最近はようやくこの難病にも生物学的製剤や分子標的薬を用いた治療が始まっています。
主な治療薬について
| 薬の種類 | 説明 |
|---|---|
| リツキサン(リツキシマブ) |
リツキサンは、Bリンパ球という免疫細胞の働きを抑える注射薬で、全身性エリテマトーデス(SLE)や難治性腎炎などに使われます。 |
| オフェブ(ニンテダニブ) |
オフェブは、全身性強皮症に伴う肺の硬化(肺線維症)を抑える内服薬です。 |
膠原病について
膠原病は、免疫の異常により自分の体を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の総称です。関節の痛みや湿疹、発熱などの症状がみられ、女性に多く見られます。
全身性エリテマトーデスや強皮症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群など、複数の病気が含まれます。かつては難病とされていましたが、ステロイドや免疫抑制剤の進歩により治療効果が大きく改善しています。現在は、再発を防ぎながら副作用を抑える治療が主流です。
主な治療薬について
| 薬の種類 | 説明 |
|---|---|
| ステロイド薬 |
炎症を抑える強力なお薬で、病状の重さに応じて飲み薬または点滴(ステロイドパルス療法)で使用されます。効果が現れやすい一方で副作用も多いため、必要に応じて感染症や骨粗しょう症の予防薬も併用します。 |
| 免疫抑制剤 |
ステロイド薬の効果が不十分な場合や、副作用を抑えたいときに併用されます。メトトレキサートをはじめ複数の薬があり、関節や皮膚など全身の症状改善とステロイドの減量を助ける効果が期待されます。 |
| 生物学的製剤 |
炎症の原因となる物質をピンポイントで抑える注射薬で、副作用を抑えながら高い効果が得られる治療法です。関節リウマチ以外にも、多くの膠原病や関節疾患に使用されており、当院でも複数の製剤に対応しています。 |
よくある質問
FAQ
リウマチは治りますか?
現時点では「完治させる」治療法はありませんが、近年はお薬の進歩により、炎症を抑えて症状を安定させることが十分に可能になっています。
早期に適切な治療を始めることで、関節の破壊を防ぎ、日常生活をこれまで通りに送ることを目指せます。
どのくらいの頻度で通院が必要ですか?
治療の初期やお薬を変更したばかりの時期は、1〜2週間ごとの受診が必要になることがあります。
症状が落ち着いてきたら、月1回〜数ヶ月に一度の受診で経過をみていくことが多いです。
治療を続けると副作用はありますか?
どのお薬にも副作用の可能性はありますが、定期的な血液検査や診察でしっかりと体調を管理しながら使用することで、リスクを最小限に抑えることができます。
気になる症状があれば、いつでも医師やリウマチケアナースにご相談ください。
妊娠や出産に影響はありますか?
リウマチでも妊娠・出産は可能です。ただし、使用するお薬によっては妊娠に注意が必要なものもあります。
妊娠を希望される場合は、あらかじめ医師とよく相談のうえ、治療内容を調整していくことが大切です。
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