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幹細胞治療(慢性疼痛)

慢性疼痛の幹細胞治療について

対象疾患及び治療に係る費用

慢性疼痛 ・・・・・・・ 点滴 1回  1,540,000円(税込)

治療の内容

本治療は、患者様本人の脂肪から採取、培養した脂肪由来間葉系幹細胞を静脈内に投与することによって慢性疼痛を改善することを目的とした治療法です。

 

 

間葉系幹細胞は、骨髄内に存在し多様な細胞に分化できる能力を持つことがわかっています。

 

点滴静脈注射された自己骨髄由来間葉系幹細胞は傷ついた臓器や組織に自らが向かい、その組織を修復するように働きかけます(ホーミング:動物実験では確認されています。ヒトでは放射性元素を用いるため確認することが出来ません)。自己骨髄由来間葉系幹細胞の治療メカニズムは①神経栄養因子による神経栄養保護作用②血管新生作用による血流の増加③神経再生作用が考えられています。そして、骨髄由来間葉系幹細胞に非常に類似した間葉系幹細胞が皮下脂肪内に存在することが明らかになっています。本治療は採取が比較的容易な脂肪をもとに間葉系幹細胞を培養し点滴静脈投与する治療法です。しかし、すべての患者様に同じ効果や期待される効果が出るとは限りません。治療に入る前に医師と必ず細かく相談して下さい。

他の治療法について

本治療を受ける前には、まずはきちんと従来の慢性疼痛に対する治療を受けてください。その上で治療困難な慢性疼痛に対して、本治療は行われます。従来の治療法とは、内服、神経ブロック、認知行動療法、リハビリテーションおよびニューロモジュレーション療法(中枢または末梢神経に対し電気的調整を加えることで異常興奮を抑制するなどの治療法、具体的には脊髄神経刺激療法やパルス高周波療法および経頭蓋磁気刺激法など)を指します。他にもリハビリテーションや運動療法、理学療法、鍼灸なども含まれます。これらの治療単独・または併用でも慢性疼痛の状態が難治である場合がしばしば経験され、限界は少なからずあるというのが現状です。あえて他の治療法の欠点を挙げると、薬物治療は薬物による副作用や依存の問題、神経ブロックやニューロモジュレーション治療も体に侵襲を加えることで時に大きな出血、感染、神経障害の危険性がある点、リハビリテーションや運動療法、理学療法、鍼灸などは効果が出るのに時間がかかる点などが挙げられます。これら利点・欠点を熟慮した上で、本治療を開始されることをお勧めいたします。

リスク及び副作用について

まず第一に、すべての方にご希望通りの効果が出るとは限りません。
本治療を受けることによる危険としては、皮下脂肪の採取や細胞の投与に伴い、合併症や副作用が発生する場合があります。考えうるものとしては、脂肪採取部位の感染、痛みなどです。脂肪採取部は通常は目立ちませんが5mm程度の傷が残ることがあります。
また静脈投与後に発熱をする場合がありますが、大抵は24時間以内に解熱します。場合によっては部分的な消毒や抗生物質、解熱剤の処方などの対応を行なうこともありますが、大きな処置が必要であることは通常はありません。
また、多くの脂肪由来幹細胞点滴療法が安全であるという論文は存在しますが、過去に国内で自己脂肪由来間葉系幹細胞静脈投与治療後に肺塞栓で死亡した例が一例報告されています。
自己脂肪由来間葉系幹細胞点滴治療と死因との因果関係は明確ではありませんが、治療前の血液の凝固能(固まりやすさ)に異常がある方はこの治療を受けることが出来ません。
また、万が一の場合に備えて肺塞栓に対し、「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」に準じて初期治療を行なうための救急用品・機器・薬剤は準備いたしております。また、その際必要な搬送先の近隣病院などの連携も確認致しております。
細胞自体は患者様ご自身のものであるため拒絶反応などの心配はありません。ただし、細胞加工工程にて培養中の細胞に細菌感染などが見つかった際、あるいは細胞異型(通常の細胞と著しく形態が異なること)が見つかった際は点滴治療前に、培養中止、培養のやり直しを行なうことがあります。その場合は、やむを得ず治療自体を中止したり、当初の予定より全行程に時間を要したりすることがあります。
麻酔薬や抗生物質に対するアレルギーを起こしたことのある方は、本治療を受けることができません。また術前検査にて各種感染症や著しく血液検査異常値が認められた場合なども治療をお受けになることが出来ません。あらかじめご了承ください。

委託先CPC(Cell Processing Center):細胞培養加工室




当クリニックでは細胞培養をCPC(Cell Processing Center)株式会社に委託しています。 CPCとは、細胞を培養するために必要な清浄度が保たれている専用のクリーンルームです。患者様からお預かりした大切な細胞の培養・管理は、専任の培養士が最終的な細胞検査まで責任をもって行います。CPC(細胞培養加工室)は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に則り、厚生労働省から施設番号が付与されています。

委託先CPC4つの特徴

新鮮な状態での細胞培養

患者様から採取した組織を専門の郵送業者を用いて、徹底した温度下で委託先CPCに移送できるため、新鮮な状態で細胞培養作業に取り掛かることが可能です。

培養時の薬品不使用

培養工程の初期段階で薬品を使用すると細胞にダメージを与えてしまうため、薬品は使用しません。

徹底した細胞管理体制

細胞は患者様によって形も増えるスピードも違うため、毎日観察、記録しています。細胞数は多ければ多い方が良いということではありません。患者様に適した細胞数になるように医師と専任の培養士で細かい調整を行います。

患者様1人1人にあったオーダーメイド培養

治療方法や体格に合わせて細胞数を算出し培養するため、患者様に合った高品質な細胞治療が提供可能です。

 


 


 

脂肪細胞採取後の流れ

採取後すぐにCPCに移送します。患者様によって若干前後しますのでこの時点では幹細胞の投与日は確定できません。CPCで細胞が十分に増えるまで培養します。(培養過程で異常が認められた場合は培養を中止することがあります。)

細胞培養開始約2週間後のある段階で残りの培養に必要な期間が確定します。ここで投与日(治療日)をご相談の上、確定させて頂きます。細胞投与を最適な条件で行うために、一度確定された投与日(治療日)は原則として途中変更できません。

 

細胞は採取から1年間凍結保存ができるため、1年以内であれば再度脂肪組織の採取をすることなく、繰り返し治療を行うことが可能です。 培養の途中で細胞に異常が見られた際は、患者様の治療に使用できないため培養を中止します。その際、再度患者様の組織を採取することが必要となる場合があります。治療に用いる細胞は、安全性の面においても確実なものを提供しているためご了承ください。